セカンドオピニオン

新小児科医のつぶやき - 医師の新しい義務
セカンドオピニオン」が議論の的になっているように感じます。

判決には、

控訴人乙原は、平成7年12月29日に徳島病院で控訴人に病状の説明を行った際、セカンドオピニオンを受けることができることの説明をし、その医療機関として、四国がんセンター及び大阪府立成人病センターの名を挙げて医療機関名を教示したことが認められるから、被控訴人乙原にセカンドオピニオンの説明義務違反があるということはできない

とあります。だから、この件に関して被控訴人には何の問題もありません。問題はあくまで、患者が希望していた温存療法を実施している医療機関を紹介しなかったという点です。ではなぜ、

これは、乳房温存療法は適応外であり、乳房切除術によるべきこととした判断についてセカンドオピニオンを受けることのできる具体的な医療機関を教示したにとどまるから、この事実をもって、被控訴人乙原が、被控訴人乙原からみれば適応外の症例でも乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示したと認めることはできない。

などというややこしいことを述べているかというと、推測するに、セカンドオピニオンで診療を受ければ、被控訴人の誤診等が発覚し、温存療法の適応があるとの診断結果が出ないとも限らないけれども、そういうことじゃないんだよということを言っているのだと思います。


ややこしいけれど、本題はあくまで、「乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在を教示すべき義務」についてであって、セカンドオピニオンを紹介したということが、それに該当するのかという問題に対する答えであって、セカンドオピニオンを紹介するときは、乳房温存療法を実施している医療機関を紹介しなければならないという話ではないと思います。


下手糞な例えですけど、工作で糊が必要だったのに置いていなかった。でも弁当がおにぎりだったから、ご飯粒を利用することができた。だったらいいじゃないか。でも弁当がパンだったからさすがに無理。というような話じゃなかろうかと思います。


次に、セカンドオピニオンの確保義務ですけれど、無知なんで、ネットで検索したところ、

国立病院・療養所のセカンド・オピニオン制度では、機構内でセカンド・オピニオンの提供に対応できる医師のリストを患者さんに提示し、気軽に意見が聞けるようにし、機構外の民間病院などでセカンド・オピニオンを求める場合も、カルテなどの診療記録を、相手先の病院に開示することを義務づけています。

セカンド・オピニオンの大切さ(子育ての医学情報)
とあります。こういうことであれば、「独立行政法人国立病院機構 徳島病院」に勤務している乙原医師が徳島病院において患者に説明する場合、義務があると言えるのではないでしょうか。


このあたりもう少し調べてみます。


(追記)
セカンドオピニオン制度は2004年からでした。それ以前に何らかの制度があったかは不明。それにしても平成7年時点で(そして現在でも)、全ての医療関係者にそのような義務があるとは、思えないので、これは原判決か何かに書かれたことに対応していて、それを読まないと理解できないものなのかもしれない。