保守主義の時代

上で、「ブッシュ以後、アメリカの保守はどうなっていくんだろう」と書いたんだけど、これは「保守とリベラル」と単純に区分けした場合の「保守」という意味。具体的には共和党のこと。それは俺には予測がつかない。ただ、保守主義という意味であれば、去年の中間選挙では民主党が勝利したとはいえ、その勝因は保守に擦り寄ったからであった。共和党の敗北=保守主義の敗北ではない。


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共和党の時代はなぜ終わる――フィナンシャル・タイムズ(1)(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース


一方英国では、1997年以来労働党政権であり、日本では主に左翼の間で「第三の道」が脚光を浴びているけれど、ブレア氏の元経済顧問のデレク・スコット氏が、

「『第3の道』は政治戦略として、あるいは知的な議論の土台として使うのはかまわないと思うが、経済哲学あるいは政治哲学としては実際には存在しないと 思う。労働党がこの概念を使ったのは、自分たちの場所を示すためだけだ。自分たちが極右でも極左でもない、中道だと言いたかったからだ。

小林恭子の英国メディア・ウオッチ:ブレア特集 元経済顧問の見たブレア政権
とぶっちゃけているそうだ。ウィキペディアにも、

"第三の道"は新自由主義でも社会主義でもない"新たな思想・新たな政治路線"であると一般的に考えられているが、この考え方に対しては新保守主義新自由主義を肯定する右派からは「バラマキ財政」と揶揄され、左派からも「労働組合の切り捨て」「格差社会の根本的な是正にはならない」などの批判も根強く、先駆者のブレア政権でも実際バッシングは多かった。例えば、ビル・エモットは、現在の英国(およびその影響を受けたドイツ)では、誰もこの思想を話題にはしておらず、ブレア自身も政権の途中からこの言葉を使わなくなった、理由はそんな思想など元々存在しなかったからだ、と主張している。彼によれば、"第三の道"は左派政党が支持者に対して「右派の政策を採択することによって左派を裏切ろうとしているのではない」ことを説得する方便にすぎないからだとしている。

第三の道ウィキペディア
とある。


フランスでは右派のサルコジが大統領になった。ただ、どういう政治思想を持っているか詳しくは知らない(新自由主義という用語はかなり幅広く採用されているため)。ドイツでは2005年に中道右派であるキリスト教民主同盟メルケルが首相になったが政権基盤は脆弱だ。とはいえ、右派の勝利であることは間違いない。


そして日本。安倍自民党参院選で惨敗し、今後政権交代があるかもしれない。しかし、民主党が政権を取ったとしても、「小さな政府」路線が放棄されることはないだろう(スローガンとして「第三の道」的なことを言って違いをアピールするかもしれないが)。万一放棄すれば、速攻で失敗して民主党は崩壊するだろう。左翼の一部は民主党が勝利した暁には右派を追い出して、革新政権を作りたいと夢想しているかもしれないけれど、それはまずあり得ない。民主党が責任政党であろうとするなら、基本は与野党ともに「小さな政府」であり、「最低限の保障」をどの程度にするかが争点になるだろう。


と俺は思いますね。