NHKスペシャル「名ばかり管理職」

本当にひどい。特に前半に紹介されたのがひどい。どうしてこんなことになってしまうんだろうか?


よく言われるのが「儲け主義」というやつだが、経営側には経営側の言い分があるだろう。人件費が増えれば競争力が落ちる。企業が倒産すれば雇用そのものがなくなってしまう。それはまあ、その通りだ。だが、しかし…


後半に出てきた自動車部品メーカーとかはともかく、コンビニやファストフード店などについて言えば競争相手も国内の企業だ。大まかに言えば、同じ労働量なら同じ人権費がかかるようになるわけで、人件費を減らすためには、無駄な労働を減らす努力をする等の努力をすべきだろう。ところが、賃金そのものを実質的にカットするような方法に手をつけてしまった(正確には元からあったシステムが暴走したというべきか)。


一つの企業だけが、それをやっているのなら、企業にとってはそれでもいいだろうが、あそこがやるのならばと、次から次へと拡大していけば、結局条件は同じになって、有利になるわけでもなく、労働者だけが疲弊していく。誰が得するのかといえば、低価格と便利なサービスを受け取ることができる消費者ということになるかもしれないが、そういうやり方が蔓延すれば、消費者の多数は労働者とその家族ということになる。例えて言えば、スポーツ選手がドーピングをするようなものだ。肉体的な限界があるのに、その限界を超えようとしても、誰もがやれば、それだけで抜きん出ることはできなくなり、しかも、それでいて健康は害される。


過剰なサービスを受けるために、過酷な労働を強いられているのだとしたら馬鹿みたいだ。しかし、自分だけがその悪循環から抜け出しても生きていけない。何とかしてこれを改めなければならない。