マニアックな話題で読者が減っていると思うけれど、そんなの関係ねえ。
物語要素事典に「影取り沼」伝説が載っていた。
⇒★3a.影取り沼。
影取り沼の伝説 新田義貞の武将小山田高家が戦死し、奥方が悲しんで村境の池に身を投げ、侍女たちもそのあとを追う。以来、すすり泣きの声がかすかに聞こえ、池水に影を映した女は心気もうろうとなって水底に誘いこまれる(東京都町田市)。
これを見ると「奥方」が入水したのは「長池」ではなくて「影取り沼」ということになる。そして「浄瑠璃姫伝説」では入水して終わりだけれど、こっちでは後日譚がある。「奥方」は沼の主になったのだろう。
さらに検索していたら、「影取沼」伝説の別ヴァージョンを見つけた。
⇒多摩のジョギング道−小野路・小山田の里道を行く(このページの一番下)
「影取池」は元々「アヤメ池」と呼ばれていた(と伝説ではなっている)。ストーリーとしては「浄瑠璃姫伝説」とあまり似ていないけれど、要素に分解すると類似点がある。
浄瑠璃姫は薬師如来像を背負って池に身を投げたが、こちらの百姓の娘は大日如来像を抱えて池に身を沈めた。
浄瑠璃姫が入水したのは夫の小山田高家が戦死した後だが、こちらは恋仲になった若者が池で行方不明になった後。
あと仏像が池のほとりにあったというところも似ている。
俺は最初、この伝説をヘビと女性の婚姻譚かと思っていたけれど、そういう要素はあんまりなくて、伝説の根幹をなすものは「池に棲む恐ろしい何物か」にあるようだ。それに後々色々な要素が加わっていったのだろう。