かぐや姫(の前世)が地上で契りを交わした相手は誰か?結論はほぼ出てる。
それは竹取の翁(の前世)だ。
かぐや姫は、罪をつくり給へりければ、かく賤(いや)しきおのれがもとに、しばしおはしつるなり。
竹取の翁がかぐや姫を見つけたのは偶然ではない。竹取の翁の元にかぐや姫は遣わされたのだ。
なお、正直者の子供がいない老夫婦の元に子供が遣わされるというのは「桃太郎」や「一寸法師」など昔話の王道である。おそらく『竹取物語』の原型もそのような話だったであろう。しかし『竹取物語』においては「老夫婦」ではなく「竹取の翁」の元に子供が遣わせられたのだ。妻の嫗は影が薄い。『竹取物語』の作者は原型となった話に新たな要素を付け加えたのだ。
ところで「竹取の翁(の前世)」と書いたけれど、可能性としては竹取の翁その人とかぐや姫の間に契りがあったということも考えられるが、やはり前世とするべきだろう。その理由はこれも
かぐや姫は、罪をつくり給へりければ、かく賤(いや)しきおのれがもとに、しばしおはしつるなり。
にある。竹取の翁は賤しい者とされている。おそらくはそこにも重要な意味があって、翁が賤しい身分に生まれたのは前世の罪の因果だということが暗示されているのではないだろうか?
すなわち、竹取の翁の前世は高貴な身分の者だったが、月の住人と契りを結んだ(愛し合ったということだろう)ことによって、賤しい身分となって転生したということではないだろうか。
その原因の一端はかぐや姫にある。ゆえに生まれ変わったかぐや姫は竹取の翁の元に降ってきたのだろう。賤しい身分だった翁は豊かになった。また子供がいなかったのも前世の報いだと考えられ、かぐや姫が子になることによって報いたということだろう。
だが、それは永遠に続くものではなかった。
長き契りのなかりければ、ほどなくまかりぬべきなめりと思ふが、悲しくはべるなり。
この世に長くとどまるという前世からの宿縁がなかったために、まもなくお別れしなくてはならないのが悲しいのです。
⇒竹取物語〜現代語訳
それもまた前世の縁だったのであった。
以上が俺の考察。