「ローマの休日」2

Roman holiday の意味とは - 英和辞典 Weblio辞書

―【名】【C】 ローマ(人)の休日 《他人の犠牲において楽しむ娯楽》.
古代ローマで奴隷や捕虜などに武器を持たせて戦わせたことから; Byron の詩から]

辞書には確かにそう書いてある。また、こう書いてあるものもある。
生徒がこんな質問をしてきたら 久保田 正人(注:PDF)

通例、都市名に形容詞は存在しない。したがって Roman Holiday は「ローマの休日」の意にはならない。ローマが都市名でなく用いられるのは「(古代)ローマ帝国」という国家名のみである。Roman holiday は「古代ローマ人の休日(の過ごし方)」が原義であり、剣士や奴隷を死ぬまで戦わせてそれを観戦したことから、「人の苦しみのうえに成り立つ快楽」という意の慣用表現となった。イギリスの詩人 George Gordon Byron がChilde Harold’s Pilgrimage(1812)の中で、gladiator(円形闘技場で観客を楽しませるために死ぬまで戦わされた剣士や奴隷)の死の隠喩として用いたのが最初(ただし英語圏の人でもこの表現の由来を知らない人が多い)。オードリー・ヘップバーン主演のあの映画は、(もし題名が真に意味を持つものであるならば、)一般に考えられているのとはちがって、一種の残酷物語として意図されていたことになる。

久保田正人という人は千葉大学言語教育センターの教授らしいのでこれで正しいのだろう(が、本心では納得できてない)。これが正しい場合には、「ローマの休日」という意味はないので、タイトルに二重の意味が含まれていないということになる。とすれば、呉氏の言う「欧米の教養人ならすぐ分かるしゃれ」の「しゃれ」って何?




俺は呉智英氏の記事を読んで、そうなんだと思い、それにしても、呉氏の付けた『はた迷惑な王女様』、『王族のスキャンダル』には違和感を持った。しかし、考えれば考えるほど、学者がそう言っていようが、映画にそんな意味はなくて「Roman Holiday」は「ローマの休日」という意味しかないのではないかという思いが強くなる。


深読みすれば、そういう意味で描かれているように見える場面もなくはない。しかし、それは部分を取り出して、そういう視点で見た場合に見えてくるものであって、全体として見た場合には、そんな意味はないとして見たほうが自然に見える。


可能性としては、最初はそういう話を作るつもりだったが、途中で方針が転換されたとかあるかもしれないけれど、そんな話は聞いたことないし、そこまで考えて映画を見なければならないなんてこともないだろう。


納得のいく答えが見つからないのでモヤモヤした気分。


(追記 6/12)
Classic Film: The title of Roman Holiday, holiday in rome, audrey hepburn

There is no way anyone can know what william wyler had in his mind, so no one can answer that question.

そりゃそうだ。でも、これで「欧米の教養人ならすぐ分かるしゃれ」では無さそうだということだけはわかった。