既に否定されたトンデモ説も、もう一捻りすればと思うことはしばしばある。例えば「上杉謙信女性説」。
この説はとっくの昔に歴史家の桑田忠親氏によって徹底的に批判されている。にもかかわらず未だに人気のあるトンデモ説。はっきり言ってしょうもない。学者の批判を覆すようなものは見たことがない。
だけど「上杉謙信女性伝説があった説」ならどうか?結論から言えばこれも苦しい。苦しいんだけど少しは現実味がありそうじゃない?
当時、民衆の間で謙信のことを「男もおよばぬ大力無双」と歌った瞽女(ゴゼ)歌があったとされる。
謙信が女性ではないとしても、謙信が女性だという「伝説」があった(のかもしれない)。ただし、
ただし、この歌詞が載っていたとされる長岡の瞽女頭・山本ゴイの唄本『越後瞽女屋敷・世襲山本ごい名』という本は、八切が点字本を確認していることを書き残しているが[2]、現在見つかっていない。
ということで、「苦しい」と書いたのは、そういうこと。ただ、こういう考えを俺は今まで見たことがない。謙信女性説を扱ったものは山ほどあるので知らないだけかもしれないが、メジャーな論点になってないことだけは確か。事実か事実でないかにしか関心がないから、そういう発想が出てこないんだろう。
現実には男子だけど女子として描かれているという例には「安徳天皇女性説」がある。
また『平家物語』に安徳天皇は実は女子であったのではないかという疑念を起こさせるような記述があることをもとにして、浄瑠璃・歌舞伎の「義経千本桜」などでは、女子であったという筋立てを採用している(渡辺1990:82-122ページ参照)。
江戸時代に謙信女性説があって、それを八切止夫が「再発見」したのかもしれない(万に一つの可能性しかないけれど…)
そういう推理が楽しいと思うんですけどね、俺が特殊なのかもしれないけど。