「神武東征」(その6)

ネットで「末子成功譚」を調べてみると、古代には末子相続の習慣があり、それが伝承として残ったみたいな説があるみたいで、これも「神話は史実を反映している」という話の一種なんだろうけれど、俺は疑問に思う。


「末子成功譚」は末子相続の制度があったという話ではない。たまたまある兄弟の弟の方が賢かったり、勇敢だったり、勝負で勝ったり、最後まで生き残ったとかいう話だ。あくまで個別の話であって、古代はどこの家でも弟が賢かったり勇敢だったという話じゃないのだ。


それにスサノオヤマタノオロチを退治して生贄になるはずだったクシナダヒメを妻とした英雄だが、親(イザナギ)の遺産を相続したという話じゃないだろう。神武も相続したというより、東征によって得た地を支配したという話だろう。


そして何より、アマテラス・ツクヨミスサノオは兄弟とはいっても、ほぼ同時に誕生したのであり、またコノハナサクヤビメは一夜で孕んで、山幸彦と海幸彦の兄弟もほぼ同時に誕生したのであり、大碓命小碓命ヤマトタケル)の兄弟は双子であった。


それを考えると、神武の兄弟もタマヨリビメ同時に産んだのだと考える方が自然だと思う。