朝日の路上弁当規制記事についての疑問点

asahi.com(朝日新聞社):路上弁当屋、安くて便利だけど…衛生・商道徳に懸念の声 - 社会


この記事が「間違っている」と言いたいわけじゃない。理解できないことが多いということを言いたい。俺はこの件についてほとんど知識が無いけれど、それは俺だけじゃないだろうし、そういう一般人向けの記事としてどうよ?と思うところがあるので書こうと思ったというわけ。


この記事で路上弁当屋の問題点として上がっているのは「衛生面」と「売り方」。二つの問題が混在して書かれてあることからして既にややこしい。

 1日100個を販売する業者は「飲食店のように行列して待つ必要がないので、昼休みを有効に使いたい人にうけている」と言う。

 だが、行政側は業者への監視を強めている。中央区は今年度から「路上弁当販売監視員」を1日6人、年間計152日間巡回させる計画だ。

 なぜか。行政側が問題視しているのは衛生面だ。

揚げ足取りと言われるかもしれないが、読み方によっては、都が便利な路上弁当を「別件」で取り締まろうとしているようにみえてしまう。特に、新規参入する理容・美容室に洗髪設備を義務付けるというのがあって、これがカット専門店の出店規制ではないかという話を知っている人はそういう文脈で理解してしまう可能性があるのではなかろうか。というかブックマークにそういうコメントあるし…


そういう目的がある可能性もなくはないかもしれないけれど、その点はよくよく考えてみる必要があり、安易に「物語」を作って理解してしまうのはよろしくないと思いますね。まずは、それとこれとは別問題だという視点で見る必要があるでしょう。


次に、

中央区は昨年6〜8月に抜き打ちで弁当の細菌検査をした。食べても健康被害の可能性は低いものの、細菌数が基準値を超えて「不良」とされた弁当は、店舗販売が44個のうち13個(30%)だったが、路上販売は37個のうち22個(59%)と高かった。

不良率が59%と滅茶苦茶高い。しかし店舗販売も30%ある。この検査について詳細が知りたいところ。


ソースはこれなんだけど、
平成21年度食品衛生夏期対策事業の実施結果について (PDF・23.1KB)

3,057軒に立ち入り、細菌検査の検体数が253。そのうち不良が69。法違反が2。収去検査というのだそうだけれど、無作為なのか、怪しいのを検査するのかとかはわからない。弁当類(路上販売)が37個、弁当類が44個で、路上販売の検体数が相対的に多いと思われるけれど、それはなぜなのかというのもわからない。重点的に調べたということだろうか?なお、検査は夏場に行なわれているということも考慮する必要があるだろう。


※なお、
おべんとうのい和多公式ブログ 中央区衛生推進委員さんから
によると、2008年度の調査では、弁当類( 路上販売)は38個中不良22個(58%)で去年とほぼ同じ数字。



で、最大の疑問点はこれ。

 都は07年、各区に「路上に売り台などを固定しない」「商品は遮光性のある容器に入れ、温度管理をする」などの通知を出し、路上の弁当販売を減らすよう求めた。これを受け、港区も1年1回の行商届けの更新や新規参入時の審査を厳しくした。現地に職員が足を運びチェックする。

「路上の弁当販売を減らすよう求めた」


これのソースは、
「行商に関するQ&A」の送付について(東京都通知) (PDF・199KB)
だろうけれど、「業務の円滑な運営に資するため」とはあるが、「路上の弁当販売を減らすよう求めた」ようには見えない。どこからそんなことが読み取れるのだろうか?それとも別にソースがあるのだろうか?


それを踏まえて、

こうした規制に対して、ある業者は「弁当は保冷剤の入ったケースに入れ、客に渡す直前にしかケースからは出さないようにしているのに……」と話す。

を読むと、この業者の言い分がその通りなら、監視員が巡回してくる回数が増える可能性があるのは多少迷惑かもしれないけれど、それだけのことのように思えるのだが…
(新たにルールを作ったわけじゃなくて、ルールを守るよう監視指導するだけでしょう。もちろんケースによっては、お目こぼしだったものが、規制強化になるというのもあるけれど、このケースではルールを守るのが当然であり、そういう性質のものじゃないと思う)



※参考
路上での弁当販売に関する監視指導強化のお知らせ 中央区ホームページ

 保健所では、条例に定める販売方法(人力により移行しながら販売)、衛生基準等の遵守徹底を図るため、警察署等関係機関などと連携を密にしながら監視指導の強化に取り組み、ルールが守られていない弁当販売をなくすよう努めていきます。