民間事故調とマスコミ(その6)

下村健一氏のツイート

ken1shimomura
民間事故調/4】実際、「これどうなってるの」と総理から何か質問されても、全く明確に答えられず目を逸らす首脳陣。「判らないなら調べて」と指示されても、「はい…」と返事するだけで部下に電話もせず固まったまま、という光景を何度も見た。これが日本の原子力のトップ達の姿か、と戦慄した。
ken1shimomura 2012/03/04 00:55:19

つまり下村氏は、「そんな事まで自分でする菅直人に対し「ぞっとした」のではない。そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない居合わせた技術系トップ達の有様に、「国としてどうなのかとぞっとした」のが真相」「実際、「これどうなってるの」と総理から何か質問されても、全く明確に答えられず目を逸らす首脳陣。「判らないなら調べて」と指示されても、「はい…」と返事するだけで部下に電話もせず固まったまま、という光景を何度も見た。これが日本の原子力のトップ達の姿か、と戦慄した」というわけだ。

これならわかる。誰だってぞっとするだろう。一番の当事者が、事態への対応を何ら打ち出すことすらできずにいたわけだ。

H-Yamaguchi.net: 「ぞっとした」にぞっとした話


下村氏が「ぞっとした」のか菅直人に対してではなく「日本の原子力のトップ達の姿」にぞっとしたのは事実なんだろう。そして、下村氏の真意とは違う形でマスコミで報じられたのも事実。その影響で今度は「日本の原子力のトップ達の姿」にぞっとする人が続出。


しかし、下村氏の真意を理解したからといって、それに同意しなければならないなんてことはない。


山口浩氏は「これならわかる。誰だってぞっとするだろう。」とおっしゃるけれども、本当にそれは誰だってぞっとすることなのか?


俺はそれは言いすぎだろうと思う。


読売新聞の記事に

バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡し、「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」と問うた。その場に同席した1人はヒアリングで「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。

とある。


この「同席した1人」が下村氏のことで真意は菅直人にぞっとしたのではないということだが、下村氏の言い分を読んだ後でも、「首相がそんな細かいことを聞くのは」いかがなものかという思いは消えない。


果たして首相がそんな細かいことを知る必要があるのだろうか?俺は素人だから「必要ない」と言い切ることもできない。しかし、なぜ必要だったのかという疑問に下村氏は答えていない。


可能性としてはいくつか考えられる。


一つはそれが首相が知る必要があることだったということ。理由は不明。


一つは首相が知る必要はないが「日本の原子力のトップ達」なら知っていなければならないのに知らなかったことに腹を立てたということ。


後者の場合、それが本当に「日本の原子力のトップ達」なら知っていなければならないことなのかという問題がある。


さらに、それを「日本の原子力のトップ達」が知らなかったのが事実として、その場で部下に問い合わせる必要があったのかということ。


菅直人は「判らないなら調べて」と指示したと下村氏は言う。


この言葉通りに指示したとするなら、部下として判断に迷うところだ。「今すぐ調べろ」という意味なのか「後で調べて報告しろ」という意味なのか(あるいはお前が調べて知りさえすれば俺に報告するまでもないという意味なのか)。


これは俺の経験なんだけれど、「調べて」と言われて調べようとしたら「今は俺の話を聞け」と怒られたこともあるし、逆に「なぜすぐに調べようとしないんだ」と怒られたこともある。長年つきあいがあれば、この人の「調べて」がどういう意味か理解できるかもしれないが、そうでない場合はどないせいちゅうねんとその理不尽さに困惑することもある。


いや、あの場ではすぐに調べるのが当然だという話なのかもしれないが、そこのところがわからない。


「日本の原子力のトップ達」は無能だったのかもしれないが、訓練ならばともかく本番なのだから、無能な人間には無能な人間に合わせた指示を与える必要がある。それを踏まえた上で菅直人の指示が適切だったかを評価するべきではなかろうか。


(というか、ちゃんと読めば下村氏のツイートも菅直人にも問題があったということが書いてある)

確かに、こういう張り詰めた時の菅さんの口調は、慣れていない者を委縮させる。それは30年前の初対面の頃から感じていた問題。