「うつろ舟」の新史料発見

異国美女漂着「うつろ舟」奇談 日立の旧家に新史料:茨城新聞ニュース

江戸時代のミステリー「うつろ舟奇談」を伝える史料が新たに日立市内の旧家で発見された。「うつろ舟奇談」とは、1803(享和3)年に、鹿島地方の浜にUFOのような形の舟「うつろ舟」に乗って美女が漂着したという謎めいた事件。史料は、江戸時代に海岸防御に携わった郷士(ごうし)の子孫の家の倉庫で、天保年間(1830〜44年)の「異国舩(船)渡来御届書」とともに発見された。この奇談を長年研究する田中嘉津夫岐阜大教授は「地元の旧家に伝わってきたことは意義深い。さらに、日付が書かれた文書の発見は初めて」と指摘している。


「この奇談を長年研究する田中嘉津夫岐阜大教授」は『新・トンデモ超常現象56の真相』の著者の1人だというのがもっぱらの噂。


それはともかく、この新史料で注目すべきは日付だ。

特徴は、文末に「享和三癸亥三月廿四日」(享和3年3月24日)と文書作成日が記載。事件が起きた年月日は「當亥二月廿二日」(当年亥の歳2月22日)とあり、田中教授は「日付が本当なら事件の約1カ月後に書かれた文書。事件のリアルさを感じる」と話す。

記事には書いてないけれど、滝沢馬琴の『兎園小説』の日付は2月22日。ところが『梅の塵』では3月24日となっている。俺はかねてよりこの2月22日には何らかの意味があるのではないかと思っているのだが、3月24日説もあるのが気になっていた。


もし、この史料が『梅の塵』の元ネタだったとしたら『梅の塵』は文書作成日を誤って「うつろ舟」の出現した日としてしまった可能性がある。


ただし、本当にこの史料が3月24日に作成されたものだとは限らない。後付けだとしたら「うつろ舟」伝説に2月22日と3月24日というキーワードが元からあって、それを取り込んで作成した可能性もある。だとしたら『梅の塵』の元ネタではなくて、後で作られた可能性だってなきにしもあらず。


(つづく)