⇒池田信夫 blog : 麻生発言でこれ以上騒ぐな - ライブドアブログ
ここにはいくつか事実誤認がある。まずJBpressにも書いたように、ナチスは全権委任法でワイマール憲法を換骨奪胎したのであって、憲法は改正していない。第2に、全権委任法は「だれも気づかないで変わった」のではなく、ヒトラーが国会放火事件を口実にして共産党を拘束するなど、騒然たる「非常事態」を演出して制定されたのだ。
「あの手口に学んだらどうかね」というのは、「憲法を変えないで有事立法で独裁制に変えろ」と解釈すると不穏当だが、彼が上のように誤解しているとすると、そういう意味ではなく、単に「まわりの国を刺激しないように淡々と改正を議論しろ」という意味だと思われる。
池田信夫氏は麻生発言を擁護しているようだが、麻生氏が事実誤認していることを前提としている。
しかし、そうではない。
騒然たる「非常事態」を演出して制定されたのだ。
というまさにそのことを述べているのだ。だから「静かに」と言っているのだ。
既に書いたことだが「だれも気づかないで変わった」とは、秘密裏にこっそり変わったということではない。
国民はそれに納得していたのだ。それが良くないことになるということに気づかなかったということだ。
なぜそれに気づかなかったかといえば喧噪の中だったからだ。ということを麻生氏は言っているのだ。
この手の麻生氏が事実誤認しているという解釈は多いが、そう安易に決め付ける前に、事実誤認していないという前提で解釈する努力をすべきだ。それでどうしても解釈することが不可能な場合に結論付けるべきだ。
もちろんこう決め付けてる人はそれをやったつもりになっているのだろうが、実際には早く事実誤認しているということにしたくて、思考を放棄しているのだとしか思えない。
こういう人達は「だれも気づかないで変わった」を全権委任法が制定されたことに国民が気づかなかったという意味で解釈しているのだ。しかし、そんなことがあるわけがないから麻生氏が事実誤認していると解釈しているのだ。
だが麻生氏がそういう意味で言っているのなら、「みんな納得してあの憲法変わっている」というのはどう解釈すればよいのだ?この人達は、それを考えることを放棄して都合の良い部分だけを取り出して解釈しているのだ。
また憲法改正を静かに議論しろというのは、「静かにしないと憲法を改正できない」という意味ではない。憲法改正は喧噪の中でもできる。できるけれども、「それではどんなに良い憲法が出来ても、良くないことになるかもしれない」ということを言っているのだ。
この部分も誤解している人が多いが、麻生氏はナチスが憲法を制定したと事実誤認しているのではなく、
という、まさにそのことを言っていると考えられるのである。