STAP論文騒動のよくわからないこと(その15)

昨日俺は「故意か過失かはともかく過ちを犯してしまったことを認めたという可能性が高いだろう」と書いたのだが、それは間違いだったようだ。


報道によると、小保方氏に宛てた遺書に「あなたのせいではない」「STAP細胞を必ず再現してください」という趣旨のことが書かれていたという。第一報は神戸新聞で、誤報ではないかと疑ったのだが、その後に産経、読売等も同じ報道をしている。特に読売新聞の記事では「県警関係者によると」と情報源まで明かしており、県警関係者が何らかの意図をもって事実を捻じ曲げる理由も無いであろうから、これは事実なのだろう。


とすると、笹井氏は少なくとも文面上ではSTAP細胞の存在可能性が無くなったとは考えていなかったことになる。もちろんこれは「科学では100%無いとはいえない」というようなものではなくて「STAP細胞を前提にしないと説明できない」という主張を取り下げていなかったということだろう。


もちろん遺書に書いてあるからといって本心は別にあり、本当はSTAP細胞は存在していなかったと確信していたという可能性もある。ネットでは既にそのような意見も見られる。しかしそれはさすがに考えすぎではないかと俺は思う。


しかし不思議なのはだったらなぜ笹井氏は自殺したのかということだ。自殺するにしても検証実験の結果を見てからにすればよいではないか。俺だったらそうする。一説によると検証実験で細胞の存在を否定する結果が出て悲観したのではないかという。だが実験の進捗状況は笹井氏は知らなかったはずだと理研は否定する。


だとすると自殺の原因はSTAP細胞の実在・非実在の問題ではないように思われる。今回明らかになったことだが、笹井氏は3月に心的ストレスにより約1カ月入院していたという。10日ほど前には研究室メンバーから「体調が悪い。ケアする必要がある」と伝えられていたという。また最近は薬の副作用ではっきりと会話することが難しかったという。3月に発症してから回復せず、むしろ悪化していたように思われる。


ということは、STAP論文への疑惑がきっかけだったということではあるけれども、その後の疑惑の進展が原因というよりも、体調悪化が深刻化してそれを苦にしたものだったということではなかろうか。「疲れた」というのはそういうことではないかと思う。