⇒ちょっと待て!そのイラスト!推古天皇が十二単? - Togetterまとめ
今日の朝日新聞「古代日本女帝の時代」記事に添えられた『日本皇室大鑑』からのイラストはあまりにひどい。推古帝が十二単着ているはずはない。容貌も何に基づいたのか全く不明。こういう安易な図版が読者に及ぼす影響は教科書を見てもわかるはず。記事も意図するものが不明です。 pic.twitter.com/hvbChgCqYQ
— 田中貴子 (@takakotanaka) 2016年9月25日
学校の教科書に載ったとかいうのなら別だが、こんなのに目くじら立てることはないと俺は思う。歴史的正しさを根拠にして何でもかんでも批判するというのは、戦前の「天皇陛下を機関にたとえるとは何事か」の逆バージョンみたいな感じ。
そもそもこのイラストを見れば、どこかで見たことのあるような姿。「推古天皇」で画像検索すれば似たような絵がたくさんヒットする(必ずしも推古天皇の画像ではないが)。
⇒推古天皇 - Google 検索
白黒の古い印刷のものが多数あることから戦前の画像だろうと推測できる。それで、昔は古代天皇の姿はこのように描かれていたのではないか?ということは大体察しが付く。というか俺は検索する前から察しがついていた。だってこういうの何度も見たことあるから。で、こういう情報あり。
@takakotanaka この肖像画は馬堀法眼喜孝(明治40ー?)による、明治神宮宝物殿に展示されているものです。時代的に見ても考証の正しさより威厳・権威を重視したものとなっていますので、一概に責めないで頂きたいものです。
— 白蘭花 (@BaiLanhua) 2016年9月25日
「馬堀法眼喜孝」「馬堀喜孝」「馬堀法眼」「明治神宮宝物殿」等で検索してもこの画像は出てこないけれども、「日本國歴代天皇御真影図」にこれと類似または同じ画像があるので、おそらくこれが正解なのではないかと思う。
推古天皇の肖像として描かれたものなら別にいいではないかというのが俺の感想(蝦夷などのように人種・民族差別に関わるものなら話は別になるのかもしれないが)。それが気に入らないという器の小さな意見の人もいるんだろうけれども、それはそれとして田中氏が、そういうことに思い至らなかったというのが逆に驚く。こういう絵見たことないのだろうか?あると思うんだけど。
神功皇后は武士の甲冑着てるし
⇒神功皇后 - Google 検索
神武天皇は関羽っぽいし
⇒神武天皇 - Google 検索
これがアウトなら、火消し装束の赤穂浪士もだめだし、イケメンの真田幸村(信繁)や前田慶次のイラストもだめだが、そんなの別にいいではないか。歴史教科書ならアウトだろうだけど。
そんな許容度の高い俺でも許せないのは、西郷隆盛の写真と称するもの(いわゆるフルベッキ写真)が、そっち系のものではないものに普通に使われていたり、ジョバンニ・ニコラオという画家が描いたと称する織田信長の肖像画が普通に使われていたりするのには苛立ちを覚えるのではあるが。
(追記)
責めているのではありません。この新聞記事の図版として適切か、という問題ですと、何度もツイートしています。 https://t.co/bz3dy0HCke
— 田中貴子 (@takakotanaka) 2016年9月25日
「責めているのではありません」というのは「絵を描いた人を責めているのではありません」という意味だと思われ、載せた朝日新聞は責めているんでしょう。俺は別に問題ないと思いますけどね。これ見て、「推古天皇はこんな顔してたんだ」とか「こんな服装だったんだ」とか信じちゃう人がいるんだろうか?信じちゃう人が出てくる可能性はゼロとは言えないのかもしれないが、そんな心配してたらきりがないのではなかろうか?大半の人は見終わったら忘れちゃうと思うんで、そこに注目する人は相当に歴史に関心がある人であり、そういう人でリテラシー能力があれば簡単に信じないと思う。リテラシー能力の無い人だったら、新聞どころか漫画・小説・トンデモ系歴史本でも信用しちゃうと思う。このケースでは漫画・小説は信じないが、新聞に載ってるから信じるという人はそうそういないと俺は思いますけどね。
(追記)
これがたとえば聖徳太子や源頼朝や足利尊氏や武田信玄の肖像画ように、推古天皇といったらこの画像と誰もが思い浮かべるようになったとしたら、そのときは文句言うことに異存はない。
(追記 9/27 14:30)
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1666−1750 江戸時代前期-中期の画家。
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