推古天皇の肖像画

ちょっと待て!そのイラスト!推古天皇が十二単? - Togetterまとめ

学校の教科書に載ったとかいうのなら別だが、こんなのに目くじら立てることはないと俺は思う。歴史的正しさを根拠にして何でもかんでも批判するというのは、戦前の「天皇陛下を機関にたとえるとは何事か」の逆バージョンみたいな感じ。


そもそもこのイラストを見れば、どこかで見たことのあるような姿。「推古天皇」で画像検索すれば似たような絵がたくさんヒットする(必ずしも推古天皇の画像ではないが)。
推古天皇 - Google 検索
白黒の古い印刷のものが多数あることから戦前の画像だろうと推測できる。それで、昔は古代天皇の姿はこのように描かれていたのではないか?ということは大体察しが付く。というか俺は検索する前から察しがついていた。だってこういうの何度も見たことあるから。で、こういう情報あり。


「馬堀法眼喜孝」「馬堀喜孝」「馬堀法眼」「明治神宮宝物殿」等で検索してもこの画像は出てこないけれども、「日本國歴代天皇御真影図」にこれと類似または同じ画像があるので、おそらくこれが正解なのではないかと思う。


推古天皇の肖像として描かれたものなら別にいいではないかというのが俺の感想(蝦夷などのように人種・民族差別に関わるものなら話は別になるのかもしれないが)。それが気に入らないという器の小さな意見の人もいるんだろうけれども、それはそれとして田中氏が、そういうことに思い至らなかったというのが逆に驚く。こういう絵見たことないのだろうか?あると思うんだけど。


神功皇后は武士の甲冑着てるし
神功皇后 - Google 検索
神武天皇関羽っぽいし
神武天皇 - Google 検索


これがアウトなら、火消し装束の赤穂浪士もだめだし、イケメンの真田幸村(信繁)や前田慶次のイラストもだめだが、そんなの別にいいではないか。歴史教科書ならアウトだろうだけど。



そんな許容度の高い俺でも許せないのは、西郷隆盛の写真と称するもの(いわゆるフルベッキ写真)が、そっち系のものではないものに普通に使われていたり、ジョバンニ・ニコラオという画家が描いたと称する織田信長肖像画が普通に使われていたりするのには苛立ちを覚えるのではあるが。



(追記)

「責めているのではありません」というのは「絵を描いた人を責めているのではありません」という意味だと思われ、載せた朝日新聞は責めているんでしょう。俺は別に問題ないと思いますけどね。これ見て、「推古天皇はこんな顔してたんだ」とか「こんな服装だったんだ」とか信じちゃう人がいるんだろうか?信じちゃう人が出てくる可能性はゼロとは言えないのかもしれないが、そんな心配してたらきりがないのではなかろうか?大半の人は見終わったら忘れちゃうと思うんで、そこに注目する人は相当に歴史に関心がある人であり、そういう人でリテラシー能力があれば簡単に信じないと思う。リテラシー能力の無い人だったら、新聞どころか漫画・小説・トンデモ系歴史本でも信用しちゃうと思う。このケースでは漫画・小説は信じないが、新聞に載ってるから信じるという人はそうそういないと俺は思いますけどね。


(追記)
これがたとえば聖徳太子源頼朝足利尊氏武田信玄肖像画ように、推古天皇といったらこの画像と誰もが思い浮かべるようになったとしたら、そのときは文句言うことに異存はない。


(追記 9/27 14:30)

住吉広保筆 称徳天皇像
Empress Shōtoku

住吉広保 すみよし-ひろやす
1666−1750 江戸時代前期-中期の画家。
住吉広保(すみよし ひろやす)とは - コトバンク

天平時代なのに十二単着てますね。歴史学者の著書の表紙なのに。俺は気にしませんけどね。