「付喪神」についてのここまでの俺の推理まとめ
- 「つくもがみ」とは本来は妖怪でも何でもなく単なる「不用になった古道具」のこと(使用年数も関係ない)。
- 「つくもがみ」の名前の由来は『伊勢物語』の「つくも髪」から
- 「つくも髪」=白髪=高齢女性=男から相手にされない女性⇒不要の古道具(失礼な話だが)
- 歳末の大掃除に古道具を捨てる(災いがあるとかでなく普通に不要だから)ことを『伊勢物語』の歌のもじりから「百年に一年たらぬつくもがみの災難(古道具にとっての災難)」と言ってた可能性はある。
- ただし、それは都で流行してたとかではなく、作者の周辺だけのことだったかもしれない。そこは不明。
- 人に使われなくなった道具(捨てられた・壊れた・埋められた等)が化けて出るという話が古来中国にある。
- 日本にも同様の話(おそらく中国渡来)がある。
- 『付喪神記』の作者が「付喪神」という器物妖怪を創作した。
- 古来からある道具が化けて出る話と『付喪神記』の妖怪は、同じ器物妖怪ではあるが後者は大きく発展飛躍したもの。
- (多数の器物妖怪が登場する。一度化けたら元に戻らない等)段階的に発展したのではなく作者によって一度に発展したと思われる。
- 百年経った道具が化けるというのは、「古道具=つくも(九十九)がみ」と命名したのが先で、名前を元に後から付けられた属性。
- 歳末に「古道具=つくも(九十九)がみ」が捨てられて翌年立春に化けるから+1で百年経過ということ。
- 創作動機は「草木非情、発心修行成仏」という教義をわかりやすく説明するため
- 無機物が心を得て後に発心修行して成仏するという話を作る必要があったので、古来からある道具が化けるという話を利用した。
- 器物妖怪が人を襲うという話が元から無いわけではないが、罪人でも発心修行すれば成仏できると主張するために残虐性が増した。
- 仏教の教えをわかりやすくするための「方便」であって、嘘話で人を騙そうというような動機ではなかったはず。
- (当時の)話の受け取り手も嘘・創作だということはすぐに理解したはず。
- 「付喪神」の漢字の当て字は「付・喪神記(付・捜神記)」や「付喪・神記(扶桑・神記)」というダジャレの可能性。
- 冒頭と本文は書いてることが矛盾してる。
- 冒頭では災いがあるから捨てると説明してるのに、本文だと捨てられたから化けて災いを起こしてる。
- 冒頭の説明に従えば百年目を迎える道具の妖怪化は毎年あるはずだが、本文は康保の頃の一度きりの話。
- 冒頭と本文の書き手は別人の可能性はあるし、そう考えてる人もいる。
- ただし冒頭の中ですら前後で矛盾している。百年経つと付喪神なのに「百年に一年たらぬ付喪神」。
- 百年経過すると化けるので捨てられるという冒頭の説明より、捨てられた古道具が化けるとする本文の方が「つくもがみ」という名前に適合してると考えられる。
- 本文に「つくもがみ」という名前が出てこず、冒頭にのみあるので名前は後付けという考えはできないこともないけれど、おそらく冒頭と本文は同一人物によるもの。