今読んでる本。『大江戸残酷物語』(氏家幹人 祥泉社)
- 作者: 氏家幹人
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 新書
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「【第三章】情痴の果て」に面白い記事がある。
「おおらかな性」の江戸時代だが、不義を犯した男女には、ときに現代人の想像を絶するような悲劇が待っていた。
その1 光緒(こうちょ)六年(一八八〇年)中国での出来事。
この年の六月頃、湖北漢口鎮の人が長江を流れ下る一枚の戸板に目を奪われた。戸板に四肢に鉄環をはめられ身動きできぬよう釘付けにされた美しい女が横たわっていて、女の傍らに、餅が入った陶製の壺と少なからぬ銭が置かれていた。さらに異様だったのは、女の股下に日を経て堪えがたい腐臭を発している僧侶の生首が据えられていたこと。戸板には木札が挟まれていて、そこには女と僧侶それぞれの年齢(百十九歳と四十二歳)と、もし女がすでに死亡していたらこの銭で棺を買って葬ってほしいが、存命ならば救わずに放置してはしい旨が記されていた。
なぜ「大江戸残酷物語」に中国の話が出ているかというと「同様の風習はわが国にもあったらしい」から。続けてその例を挙げている。
その2 大正十一年、宮武外骨著『私刑類纂』に載っている話。
その3 明治十六年の『朝野新聞』記事
神戸沖を棹さす者もなく漂う小船があり、その中に「三十詐りなる一個の婦人を、身勣きもならぬ迄に縛り上げ、僅かに左の手のみ動く様になして側らに食物あるは、餓死せざるの注意にや、其前に男の切首一個、台の上に載せあり」というのだ。
いやあ、怖いですねえ。
(つづく)