貧乏になれば少子化問題は解決するのか?

少子化対策 貧乏になればいいのでは? - Chikirinの日記


貧困が少子化の原因というけれど、じゃあ貧困国で子が多いのはなんなんだって話。これについては去年書いたことがある。
内田樹先生がなんか言ってますけど - 国家鮟鱇


日本においても、現在より貧しかった時代の方が子が多かった。ただし、

昔だって、地主や金持ちの家には3人しか子供がいないのに、貧農に子供が8人とかいて、「貧乏ほど子だくさん」というイメージがあるんだけどな。

というのはどうだろう?この「昔」というのはいつの時代を指しているのだろうか?俺が思うに、この部分は必ずしもいつの時代もそうだったというわけではないように思う。


俺も詳しいわけじゃないので、間違っているかもしれないが、江戸時代なんかだと、裕福な庄屋階級などは妾を持って複数の子供がいる。一方貧乏人はそもそも結婚することもできず生涯独身だったというイメージがある。


ただし裕福な階級といえども、跡取りは一人だけ。その他の子は、娘は他家に嫁ぎ、次男以下は長男のスペア。無事長男が跡を継げばどうなるかといえば、経済成長期なら、独立して一家を建てることもできるかもしれないが、停滞期だとそうはいかない。一生独身で長男を主人として奉公するとか、出家するとか、都会に働きに出るとか。


もちろん、跡取りのいない他家に養子に行くというのもある。ただし、生家と同格の家の養子になれるとは限らない。格下の家の養子になるということもあっただろう。そして、そうした格下の階級でも同様のことがあって、さらに格下の家へと、で、最終的には、極貧で結婚できずに家が絶えて、誰も耕作する人がいなくなった田畑を、上から落ちてきた人が補充する。って感じ。


てなことが、なんかの本(歴史人口学の本だったか)に書いてあったと思うんだけれど、今は確認できない。


貧乏人の子沢山といっても、子がいれば収入が増える場合にはそうなるんだろうけれど、耕作する田畑が限られている場合には、狭い土地を耕作する人手は間に合っているので、子が増えても生産高が増えるわけではなく、食い扶持が増えるだけなので、子を産むメリットはないだろうとは思う。


(追記)
江戸時代における 出生率の決定要因について(注:PDF)

② 貧困率は地域性を考慮しても、しなくても一貫して出生率に負の影響がある。


(さらに追記)
少子化対策には経済成長が必要だという点で言えば、日本がいったんどん底に落ちて、そこから這い上がるという考えもアリだとは思う。一旦落ちた方が成長は容易でしょう。というか戦後の高度経済成長にはそういう面があったのだと思う。だからといって、やっぱりそれは選択したくないよね。