キリストが馬小屋で生まれたのではないという話の補足。
『聖書』にはキリストが馬小屋で生まれたとは書いてない、ただ「ルカ伝」に「飼い葉桶に寝かせた」とあるのみだ。「飼い葉桶」から家畜小屋で生まれたと連想することは可能だ。ただし、当時は家畜を洞窟で飼っていたという説があるから、一般に連想されるような家畜小屋ではなくて家畜が飼われていた洞窟だという可能性もある。
『ヤコブ原福音書』という外典ではイエスは洞窟で生まれたとする。
⇒イエス・キリストはなぜ馬小屋で産まれたか
『ヤコブ原福音書』は西暦200年前後に執筆されたと考えられているらしい。
⇒聖書外典について - サンパウロホームページ
一方、家畜小屋説は既に書いたように『偽マタイ福音書』から派生している。ただし、そこには洞窟で生まれて、家畜小屋に移ったと書いてあるそうだ。
『偽マタイ福音書』がいつ作られたのか調べたのだが、この記事に8世紀とある。
⇒「生誕」(mariのページ)
『日本書紀』の成立は720年だから、ぎりぎり重なってはいる。無論、外典が作られる前から伝承が存在していた可能性もある。ただし、こちらのページには、
⇒エジプト逃避1
とあるから「発見」されるまで存在が忘れられていたのかもしれない。だとすればキリスト教社会全体に流布していなかった伝承だったかもしれない。
キリスト教社会においてさえ、イエス・キリストが家畜小屋で生まれたという説が広く認知されていたわけではないように思われる。