⇒日本語の起源は朝鮮半島にあり?方言の共通祖先を発見、東大 国際ニュース : AFPBB News
俺は言語学に全く詳しくないし、この論文を直接読んだわけでもなく、記事に書いてあることだけで判断するんだけれど、ド素人ながら疑問点がいっぱいある(無知故の疑問なのかもしれないけれど)。
2人は、体の部位、基本動詞、数字、代名詞などの主な210単語について、59方言でリストを作成。数千世代にわたり改変されていない、いわゆる「高度保存遺伝子」を見つけ出すのと同じ要領で、他の方言に影響されていない「変化耐性」を持つと思われる単語を選び出し、コンピューターでモデル化した。
すると、これらの単語はすべて約2182年前の共通祖先に行き当たった。この年代は、朝鮮半島から大量の渡来人が来た時代に当たる。
リー氏は、農民の流入が始まった時期はこの時期より少し前の可能性があると指摘しつつ、「日本に流入した最初の農民たちが、日本人と日本語の起源に深い影響を及ぼした」と結論付けている。
そもそも「言語」とは何ぞやってことなんだけれど、「単語」に共通祖先があるということと、「言語」のルーツとの間に関係はどのくらいあるのだろうか?
たとえば「インターネット」というのは明らかな外来語だけれども、「インターネット」という単語を使ったとしても、ましてや「インターネットをする」などという言い方をすることをもって、この言語のルーツは英語にあるなどとは言わないだろう。もちろん、それが一つの単語だけではなくて、主要な単語のほとんどが外来語であった場合には、文法を含めた言語が外部から来たのではないかと推定することは可能かもしれないけれど。このへんが素人には良くわからない。
さらにわからないのが「約2182年前の共通祖先に行き当たった」というところ。なぜ約2182年前(紀元前170年)だとわかったのだろうか?2182年前の古文書に記された単語がルーツだということだろうか?しかしそんな古文書があるという話は聞いた事がない。他にどういった方法があるのだろうか?これも素人には謎。
※ちなみに紀元前170年に在位したとされる天皇は孝元天皇。
⇒孝元天皇 - Wikipedia
次に仮に「約2182年前の共通祖先に行き当たった」として、それは日本語の共通祖先だということであって、朝鮮語と共通しているという話ではない。そう推定するのは
この年代は、朝鮮半島から大量の渡来人が来た時代に当たる。
からだろうけれど、これ自体確かなことではないと思われ。
で、最後に「約2182年前の共通祖先に行き当たった」として、それはその単語が約2182年前に初めて日本列島に現れたことを意味するのかという問題。それより前からあった単語がそこで分岐したって話かもしれないじゃないですか(逆に分岐したのはこれよりずっと後の時代かもしれないのではないか?良くわからないけれど)。これまた素人には謎。
(追記5/9)
⇒言語年代学 - Wikipedia
言語年代学(げんごねんだいがく、glottochronology)は言語学において系統を同じくする2言語の分岐した年代を見積もる方法である。モリス・スワデシュによって提唱された。日本では服部四郎により紹介され研究された。
「基礎的な語彙は比較的一定した速度で変化する」という仮定のもとに、2つの言語が共通祖語から分岐した年代を、C14による有機物の年代測定と同様に、推定された語彙の「半減期」から算出するという方法がとられる。「基礎的な語彙」にはスワデシュ・リストと呼ばれる基礎語彙リストが使用される。
しかし言語の変化が一定の速度で起きるという証拠はない(たとえば文字で書かれない言語は速く変化する傾向がある)として、言語年代学の有効性について疑問視する言語学者も多い。またスワデシュ・リストの語彙が本当に基礎的といえるかどうかについても疑問が出されている。
現在では、「言語年代学」は、今や、まともな言語学者なら取り上げないトンデモ説となってしまいました。
⇒言語年代学について
⇒日本語起源の探究(このサイトまだ一部しか読んでないけれど凄く面白そう)
それにしても「言語年代学」というのは、これが一時的にせよ脚光を浴びていたということの方がむしろ驚くべきことのように素人目には思われ。