ギョーテとは俺のことかとゲーテ言い(その2)

昔書いた
ギョーテとは俺のことかとゲーテ言い - 国家鮟鱇
にブックマークがついていたので久しぶりに自分でも読み直してみた。ついでにちょっと調べてみたのだが、ウィキペディア

ゲーテ (Goethe) のドイツ語での発音は日本人には難しいこともあり、日本語表記は、古くは「ギョエテ」「ゲョエテ」「ギョーツ」「グーテ」「ゲエテ」など数十種類にものぼる表記が存在した。このことを諷して斎藤緑雨は「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」という川柳を詠んだ(矢崎源九郎『日本の外来語』参照)。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ - Wikipedia
とある。

「ギョーテ」じゃなくて「ギョエテ」になっている。何で俺が「ギョーテ」と書いたのか自分でもわからない(なお「ギョーテ」という表記自体は実際にある)。


さらに斎藤緑雨の項を見ると

その常識に捉われない機知は、1903年明治34年)1月から1903年明治36年)7月まで萬朝報・読売新聞・二六新報などの新聞に発表された「眼前口頭」をはじめとするアフォリズム集によくあらわれている。

" 按ずるに筆は一本也、箸は二本也。衆寡敵せずと知るべし "
"ギヨエテとは おれのことかと ゲーテ云ひ"

斎藤緑雨 - Wikipedia
と書いてある。



ところが、さらに調べると
Q: 「ギョエテとは俺のことかとゲーテいい」という言葉は誰が言い出したのですか? (東京ゲーテ記念館)

A:  一般には斎藤緑雨が言ったということになっています。しかし、当館のこれまでの調査でも、その原典を参照できていません。従いまして、緑雨が本当にそう書いたのかどうかも不明です。
推測では、緑雨が新聞か雑誌で書き、それが広まったのかもしれません。『斎藤緑雨全集』は緑雨の書いたものをすべて収録しているわけではありませんので、そこに発見できなかったからといって、彼が言っていないということにはなりませんが、新聞などの匿名コラムが好んで使う言葉ですので、(これも推測ですが)新聞にありがちな孫引きの孫引きで、もとは緑雨とは別の人間が書いた可能性もあります。
ちなみに、言語学者の矢崎源九郎は、『日本の外来語』(1964年、岩波書店)のなかで、次のように書いていますが、出典は挙げてはいません。

と書いてあってびっくり。