上の記事を書きたくなった理由は、昨日大都会の神社でおまつりがありまして、
⇒御釜殿の再建400年祝う 岡山・吉備津神社 - 山陽新聞ニュース
記事にもあるように浅野温子さんによる「同神社に伝わる桃太郎の鬼退治伝説を脚色した物語」の「よみ語り」があったわけなんですが、その話が鬼の「恩羅」が悪人ではなくて善人だったって話なんですね。
話の内容はここに
⇒吉備路観光ガイドブック「おかやま桃太郎ものがたり“吉備津彦と温羅”」が完成!! - おかやま観光コンベンション協会
⇒温羅伝説(鬼ノ城 - Wikipedia)
この解説からして
温羅は製鉄技術をもたらし吉備を治めた技術者であり豪族ではないかとされる。
みたいなことが書いてあるけれど、もちろん史実のわけがないし、伝説上の温羅は鬼であり悪に決まってる。
つまり、これは伝説を歪曲したものだ。
しかし、全く正反対に、この伝説こそが史実を歪曲したもので、温羅は善人だったのだという説がかなり広範囲かつ強固に信じられている模様。もちろん昔からそう語り継がれていたとかいうものではなく、せいぜい数十年前からの話だろうと思われ、さらにメジャーになってきたのはごく最近のことだろう。
大都会では「うらじゃ」という祭りがあって、テーマ曲は小学校の授業でも使われている模様。大都会の英雄扱い。
⇒うらじゃ - Wikipedia
伝説というものは時代とともに変化するものであって「新しい伝説」が出来たに過ぎないと考えればいいのかもしれないんで、他人が受け入れる分にはとやかく言うべきでないかもしれないけれど、俺は全く受け入れられないのであった。
※ なお、温羅は死んで人々に託宣を下す神となった(鳴釜神事)のであり、そういう意味では悪が転じて善になったということにはなるけれど、上に書いたことはそういう話ではない。