意味のわからないいちゃもん

このまえ俺は産経新聞が嫌いだと書いたが、同じく朝日新聞も嫌いである。だからといってこんなわけのわからない批判に同意することはできない。


朝日新聞はまだ懲りないのか!? 「米国のシリア空爆」でも「ねじ曲げ」報道  | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]


朝日の記事は

 イスラムスンニ派の過激派組織「イスラム国」のシリア領内の拠点施設の空爆に踏み切った米国のパワー国連大使は23日、空爆自衛権の行使だとする文書を国連の潘基文(パンギムン)事務総長に提出した。テロ組織の攻撃にさらされているイラクの要請を受けた米国が、他国が攻撃された場合に反撃する「集団的自衛権」などを行使したという説明だ。

米「空爆は自衛権行使」「イラクから要請」 国連に文書 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
というもの。


米国は「集団的自衛権の行使だ」と明言してはいないのだろう。しかし

 書簡によると、イスラム国がシリアで訓練などを行い、イラクに攻撃を加えていると指摘。「イラクへの脅威を除去するためにシリアでの軍事攻撃を始めた」と説明した。

シリア空爆「自衛権を行使」…米、国連に書簡 (読売新聞) - Yahoo!ニュース
とあるからには、『「集団的自衛権」などを行使した』で別に間違ってないではないか。さらに言うなら「など」と書いてあるではないか。


国際連合憲章51条には

第五十一条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。

自衛権 - Wikipedia
と書いてある。


「個別的又は集団的自衛の固有の権利」を認めているわけだが、当然のことながら個別的自衛権集団的自衛権のどちらかしか認めていないということだ。両方を認めているのだから、どちらなのかを明確にしなければならないということはないのかもしれないが、どちらかでなければならないのである。ということは集団的自衛権でなければ個別的自衛権、あるいは両方ということになるではないか。


で、ここからが全くわけがわからないのだが、長谷川幸洋氏は

朝日がなぜ「米国の空爆集団的自衛権行使」と強調したかといえば、読者に「ほら、だから集団的自衛権というのは怖いんですよ」と宣伝したかったからではないか。集団的自衛権=悪というスタンスが先にある。だから絶好の事例として「それで米国は空爆しました。空爆は悪です。だから集団的自衛権も悪です」と強調したかった。私はそう思う。

と主張している。しかし朝日新聞が「集団的自衛権」と書いたことがおかしいというのなら、すなわちそれは米国はシリア空爆で個別的自衛権も行使したにもかかわらず、朝日はそれを隠蔽しているという主張になるではないか。


この論理で冷静に分析すれば、もし朝日の記事に何らかの世論操作の意図があるのだとすれば、「個別的自衛権の危険性を隠蔽し、危険なのは集団的自衛権だけだ」と世論を誘導しようとしたということであり、読売は「個別的だろうが集団的だろうが自衛権とは危険なものだ」と印象付けたということになり、世間が持つ朝日と読売のイメージとは正反対のことになってしまうではないか。


しかしもちろん実際はそんな話では全くなく、イラクが攻撃されているので空爆したというのが集団的自衛権だと書いたに過ぎないだろう。