北条氏康書状について(その20)

俺が北条氏康文書を解読する上で重要だと思うこと


(2)「駿州無相談」を研究者は「織田が今川に相談せず」、または「駿州被相談」として「織田が今川に相談して」と解釈している。しかし俺の考えでは「駿州に」ではなくて「駿州が」であり、「三州之儀、駿州無相談」と読むべきであって「三州のことは駿州が北条に相談しない」という意味である。


また「彼国被相詰之由」とは「彼国(三州=三河国)を織田が攻める」という意味で解釈されているけれども、これも「彼国を」ではなく「彼国が」と解釈すべきである。すなわち「彼国(三河松平広忠政府)が詰んでしまわれた」という意味であろう。「詰んだ」とは「手詰まり」「どん詰まり」「にっちもさっちもいかない状態」という意味であって「侵攻する」などという意味は無いはずだ。



では、「駿州ニも今橋被致本意候」とはどういう意味か?村岡教授は

また、今川義元においても今橋を「本意」にした。

と解釈した。そう解釈している研究者は多いのだろう。


しかし、その解釈を俺は根本的に疑っている。


そうではなくて、
「今橋が駿州に本意を致した」
という意味ではないかと。


なお、俺の考えでは「今橋」とは戸田宣成(今橋政府)のことであるから、つまり
戸田宣成が今川義元に「本意」を致した
ということである。


(つづく)