浦島太郎は玉手箱を開けて鶴になったのか?(3)

俺が浦島太郎が鶴になったという話を聞いたのはいつだっただろうか?有名なのは2004年1月1日放送の「トリビアの泉」。俺はそれを見ていたけれども、それより前に確かに知っていた。しかしそれがいつなのかは定かではない。でも1980年代に知っていたということはまずないと思う。それ以降2004年までの間に知ったのだろうが、もしかしたらトリビアの放送よりそれほど前のことではないかもしれない。ネットで見たのだとしたら俺が始めたのは2002年頃だからそのあたりか。


で、俺がその話を知った時、「俺は知らなかったけれども、昔話や伝説に詳しい人なら昔から知っていたことなのだろう」と思った。俺だけじゃなくて多くの人がそう思うだろう。なお、俺はこの手の豆知識が好きだから有名な話なら大抵は知ってるつもりだったから、それまで知らなかったということは、知っている人は知っているけれども一般的には知られてない話だろうと思っていた。


でも、もしかしたら、まさにその頃に出てきた話なのかもしれない。ただし、たとえば「鎌倉幕府の成立が1192年という定説が変わった」という話に今でも驚く人がいるけれど、俺はそれなりに歴史に興味があったので2000年頃には既にそういう話があるのは知っていた。しかし河内祥輔氏が『頼朝の時代』で1185年説を唱えたのが1990年だから、もっと前から議論があったことになる。


そういうことを考えると、1986年に市古貞次校注の『御伽草子』(岩波文庫)が発行されたことが画期となって、以降の研究によって浦島太郎が玉手箱を開けて鶴になったという話が定説化して、それが広く一般人にまで届くようになったのが2000年代だったという可能性もあるように思えてくる。


まあ、これだけじゃ根拠があまりにも薄いんだけど。昭和11年には「折」だったものが、いつ「そもそも」になったのか?1986年までに出版された『御伽草子』の「浦島太郎」について調べなければならないが、できるかどうか…


その経緯について書かれた論文があれば楽なんだけど。まずは浦島太郎研究書からあたってみるか。


※ なお「トリビアの泉」では『御伽草子』とは話が異なっている。浦島が国に戻ると様子がすっかり変わってしまっているので、違う島に来てしまったと思った浦島は、自分の国を探すために船出して、途中で腹が減ったので「重箱」を開けたところ、老人になって鶴になったと言っている。これが改ざんなのか、そういう話が別にあるのか?まあ改ざんぽいんだけど。