石谷家文書って話題になったわりに、その後の展開が今ひとつ見えてこない。俺が知らないところで研究が進んでるのかもしれないけど。石谷家文書だけでは本能寺の変の原因はわからないとか、それよりも室町幕府の研究に意義があるとか、まあその通りなのだろうし、そう言う方が賢そうにも見えるんだけれども、俺にとってはやはり本能寺の変に関係がありそうなものに関心がある。
- 作者: 盛本昌広
- 出版社/メーカー: 東京堂出版
- 発売日: 2016/03/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
ただ、専門家の先生にまずやってもらいたいのは石谷家文書の解読だと俺は思うんですよね。いやもちろん既に『石谷家文書 将軍側近のみた戦国乱世』(浅利尚民・内池英樹 以下『石谷家文書』とする)が出版されているんだけれども。
- 作者: 浅利尚民,内池英樹
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2015/06/01
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
別に浅利・内池氏の能力を疑うわけではないけれど、解読困難な箇所があることは間違いないと思われ、たとえば、発表された当初は(天正10年)5月21日付「長宗我部元親書状」は
東州奉属平均砌、御馬
貴所以御帰陣同心候
だったものが、出版されたものでは
東州奉属平均、 被納 御馬・
貴所以御帰陣目出候
となっている。発表時点のは暫定的なもので、出版されたのが(一応の)決定稿ということにはなるんだろうけれども、少なくとも当初は別の解読がされてたことにはなる。後に変更された部分は解読が難しかったということでしょう。
盛本昌広氏は
東州平均に属し奉り、 御馬を納められ、貴所以って御帰陣目出たき候
と、読み下しているけれども、これは『石谷家文書』に従ったものだ。このように『石谷家文書』の解読が基礎資料になってしまって素直に採用されても良いのだろうかと思う。更なる検討が必要なのではなかろうか。それができるのはやはり専門家ということになるでしょう。