さらなる新情報。
何と芥川龍之介の作品にマルコ・ポーロの像が出てくる。作品名は『江南游記』。
小杉未醒氏に。
靈隱寺を見ました。杉の幹に栗鼠の駈け上る所なぞは、如何にも山寺らしい閑寂なものです。雨天だつたせゐか、赭塗りの大雄宝殿なぞも、甚落着いた気がしました。駱賓王(らくひんわう)がゐたと云ふのは、伝説かも知れないが、一応尤らしい気がします。此處の空気には何となく、駱賓王じみた所がある。――あなたはさう思ひませんか?もう一つ次手に申し上げたいのは、この寺の五百羅漢です。これも勿論御覧だつた事と思ひますが、少くとも二百位は、殆あなたと瓜二つです。冗談でも何でもない、実際あなたにそつくりです。聞けばこの五百羅漢の中には、マルコ・ポオロの像があるさうですが、まさかあなたの遠つ祖はマルコ・ポオロだつた次第でもないでせう。が、僕は萬里の異域に、あなたと相見する事が出来たやうな、愉快な心もちになりました。
⇒国立国会図書館デジタルコレクション - 支那游記(1925)
霊隠寺(れいいんじ、りんにんじ)は、中華人民共和国浙江省の杭州市にある仏教寺院。西湖の西の山麓に位置する。雲林禅寺とも呼ぶ。
禅宗五山のひとつ。
五百羅漢像のある羅漢堂も有名だが、1936年に焼失し[9]、現在の羅漢堂は再建されたものである。
画像は見つけられなかった。中国語の情報も見つからず。
それにしても三例目が見つかるとは思ってもみなかった。他にもある可能性は高いように思われ。
(つづく)