ドナドナ(その3)

再びウィキペディアから

歌詞では、牧場から市場へ売られていくかわいそうな子牛を歌っている。
人間の子供を子牛に見立てた反戦歌という説もある。これに関して、特にユダヤ人がナチスによって強制収容所に連行されていくときの様子を歌った歌という説もある。ユダヤ人は、彼らが信仰している(ユダヤ教の)神のことを「アドナイ」(主よ)と呼ぶ。その「アドナイ」をナチス当局に悟られないように、「ドナ」と短く縮めて表現して、戦争の不条理を神に嘆きつつ、悲しみのうちに「主よ、主よ」と歌ったものと解される。

ドナドナ - Wikipedia


俺はこの話は初耳(多分)なのだが、よく読むと、これは「説もある」という話なのである。


そして英字版Wikipediaを見ると、

Both of them were Jews, and the song was written in days of Nazism.

Donna Donna - Wikipedia, the free encyclopedia
と、たったこれだけしか書かれていない。日本語版の方が詳細なのだ。


そして、
ドナドナの謎 歌詞の解説・ルーツ・作詞者の謎など 2-2
には、『離散するユダヤ人』(小岸 昭著/岩波新書)という本が紹介されていて、詳しくはそちらを見てほしいのだが、著者の小岸昭という人の情報源は、「ドイツのフォークグループが出しているCDの解説書」であり、

実は作者は、このイスラエルの旅に出る前から、「ドナ」は「アドナイ(ドイツ語で『わが主』を意味する)」の短縮形であるという考えをもっており、この旅はその確認の意味もこめられていたとのことでした。

とあるように、どうやらこの小岸氏が「ドナ=アドナイ」説のルーツであるようだ。しかし、

 今回の旅はそんな彼の考えを裏付けるはずだったのですが、実際にイスラエルの人々に意見を伺ってみると、「あれは水だ。」とか「あれは、ロシアから伝わってきた歌だからドナとは川、もっと厳密に言えばドン川」などと言った答えが返ってきて、作者はかなりショックを受けたようです。エルサレムヘブライ大学でイディッシュ文学を専攻している学生からは、「アドナイ」の短縮形が「ドナ」になることは絶対にない、と明確に否定までされてしまったのです。

ということだそうだ。じゃあ、この説を捨てたのかといえば、そうでないようにも読めるので、何だかよくわからない。


その他
ドナドナどないしてん?
ここにも小岸氏。


Dana ダナ/ Dona ドナ
ここに書いてある「ある同一邦人からの引用」もおそらく小岸氏のことだろう。


英字版Wikipediaにそれについて書いてないのも、この説が日本でだけ流通しているからじゃなかろうか?