東京マグニチュード8.0

8話で「ひょっとして悠貴君死んじゃったんじゃ?」と話題になり、それを否定する人もいたけれど、俺も死んだと考える他あるまいと思った。9話はその考えを益々強くさせるもので、否定説は少なくなっていった。そして10話、悠貴の死は決定的になった。


ところがだ、俺は元来アマノジャクな性格だから、9割9分が悠貴死亡説に傾いている現在、逆に、本当に悠貴が死んでいるのかが疑わしくなってきた。悠貴が生きている可能性は高い、今ではそう思ってる。


以下、未見の人は要注意。




10話で、未来は封じ込めていた悠貴の死の場面を思い出す。突然倒れた悠貴は救急車で病院に運ばれる。救急隊員の後を真理と未来が追いかける。病院に反射する太陽の光。まぶしがる未来。


8話では、この後の未来の記憶が飛んでいる。10話では病院の庭に作られた特設テントに悠貴は運ばれる。ベッドに寝かされた悠貴を診断する医師。トリアージ札が切り取られて黒(死亡・もしくは救命不可能)に。医者に詰め寄る真理。しかし無情にも悠貴の顔に布がかぶせられる。泣き崩れる真理、呆然とする未来。(ここで場面が飛んで)病院の廊下。ベッドに寝かされた悠貴の遺体。テーブルの上の書類を目にしている未来。



悠貴が死んだことは確実。ただし、未来の記憶が確かだとしたらの話。



もう一度8話を振り返ってみる。悠貴が救急車で運ばれて、未来が反射する太陽光をまぶしがるところまでは10話と同じ。そこから、未来が病院の庭に敷かれたシートの上で目覚めるところまでの記憶が混乱している。たとえば悠貴がテントで死んだのなら、手術を受けることはありえないわけで、これは夢だということになる。


で、どれが現実で、どれが夢なのかということになるんだけれど、最初の病院の廊下に悠貴の遺体があるというのが現実だとすると、それ以降のことは全部夢ということになる。それはさすがにありえなくね?って思うんだけど。話の中では、これが夢で、気付くと病院のソファに座っていて真理に呼びかけられている。もちろん悠貴の死が事実なら、本当はこっちが夢ってことになるんだけれど…


だけど、看護婦が「弟さんお薬のアレルギーとかありますか?」「大きい病気やケガで入院されたことは?」と質問してるところなどリアリティがあって、これが夢なのかって思う。そして、院内には怪我人が担架で運び込まれてきている。そして患者に黒トリアージの判定がなされた場面を未来は目撃している(その後場面が一転して手術室の前になる)。


俺はこの病院内の出来事が現実の出来事なんじゃないかと思うんですよね。つまり少なくともこの時点では看護婦が質問するくらいだから悠貴は生きている。そして未来はここで(見知らぬ人の)黒トリアージの判定を見た。それを悠貴と重ね合わせた。それが10話での悠貴の黒トリアージの「記憶」。その後の手術室の場面は一部もしくは全てが未来の幻想。


そんで、以降の未来は「幻の悠貴」を見続けていくことになるんだけれど、本物の悠貴が死んだわけではなくて、入院しているだけ(しかも、よく言われている東京タワーの事故が原因じゃなくて、真理が言ってたように熱中症〔熱射病〕でしょう)。


もし悠貴が死んでいるとしたら、未来と真理の会話が非常に不自然なことになるが、真理には未来が錯乱していると気付いている様子がない。

※「今は元気そうにしていますけど、ちゃんと検査しなくちゃだめですよね」。未来は「幻の悠貴」を見て言っているが、真理は入院している悠貴のことだと思っていると考えれば辻褄が合う。


というわけで、悠貴生存率は9割くらいあると思いますね。ま、来週わかることなんだけど。もちろんハズレても責任は取らない。


(つか弟が死んだのに家に帰ろうとするって、本人は幻を見てるから不自然じゃないけれど、周りから見れば、すごく不自然じゃね?普通は離れたくないってごねるのを周囲が説得するとかあるんじゃね?常識的な人間なら心の病を心配するんじゃね?自殺するかもしれないし。そういう描写がないって方面から考えても悠貴は生きてるんじゃないのかなあ)