不当に迫害されているという思い込みがトンデモを生む。

(3)彼は自分が不当に迫害され、差別待遇を受けていると信じる。公認の学会は彼に講演させることを拒む。雑誌は彼の論文を拒否し、彼の本を無視するか、「敵」にわたしてひどい書評を書かせる。ほんとに卑劣なやり方である。こういう反対の原因が、彼の仕事がまちがっていることにあるとは、奇人には全く思いうかばない。それはひとえに、確立されたヒエラルヒー ― 自分たちの正統思想がひっくり返されることを恐れる科学の高僧たち ― の側の盲目的な偏見から生じていると彼は確信する。

『奇妙な論理 だまされやすさの研究』(マーチン・ガードナー、市場泰男訳 社会思想社


自分、もしくは自分達が不当に迫害されているという思い込み。それが疑似科学者の偏執的傾向の一つだという指摘。


疑似科学者の場合「不当に迫害されている」というのは、大抵は被害妄想だろうと思う。しかし、「不当に迫害されている」というのが、たとえ事実であっても、その思い込みが激しくなれば、トンデモ思想を生み出す下地になるだろう。


専門家や技術者が、素人の一般人から、無知からくる不当なクレームを受けたとか、偏見の目で見られたとか、そういう恨みつらみをネット上で見かけることは多い。それは実際に「不当な」ものなのだろう。しかし、そういった自分達は迫害されているという思いが強くなると、何でもかんでもそのせいにしてしまうなんてことになってしまうかもしれない。


そうなってしまったら、その人もトンデモさんの仲間入り。


不当に迫害される人たち - 国家鮟鱇