更新がちょっと途切れてしまった。単にしんどくなったとか理由は色々あるんだけど…
「天孫降臨神話の真実」って記事を書こうと思ったのは、「天岩戸神話」が日食を表していると一般に言われているけれど本当かという疑問から始まって、それについて調べてたら天孫降臨の本来の司令神はタカミムスヒでありアマテラスはあとからその地位についたというのが「研究者の共通認識」だという話にも疑問が出てきたというのがきっかけ。
ところが、その「研究者の共通認識」とは違ってアマテラスが先でタカミムスヒが後だと主張している研究者がいるらしいとの情報を得た。
その研究者とは誰あろう、あの大山(聖徳太子はいなかった)誠一氏なのであった。俺は陰謀論たっぷりの大山説を支持しない。この手の陰謀論が大手を振ってまかり通っているから今の歴史学はだめなんだとさえ思っている。
その大山氏と同じ意見を持っているというのはすごく複雑な気分。これじゃまるで俺が大山氏の熱烈な支持者みたいじゃないか…
というわけでその主張の詳細を知るまでは書く気分にならなかったのであった。で、その主張が書いてある『天孫降臨の夢』(日本放送出版協会)を図書館で借りて今読んでるところ。
大山氏の主張を大雑把に要約すれば、プロジェクトX、Y、Zの存在を想定し、
X、八百万千万神が天の河原で神分りして「日の皇子」を地上に派遣する(天上の支配者は天照らす日女の命」)
Y、司令神アマテラスと高天原の成立(アマテラス系)
Z、タカミムスヒ系の成立
という順序で「天孫降臨神話」が変化したということらしい。
俺の考えでは、「天神→アマテラス→タカミムスヒ」なので「八百万千万神→アマテラス→タカミムスヒ」の大山説との違いは本来の神が「天神」という絶対神的な神か否かの違いはあるけれど、見た目は似てる。ただし、大山説はいつも通り「草壁王朝のため」とか「不比等の創作」だとかの陰謀論で塗り固められており、まだ詳細に分析したわけではないけれど、支持することはできないだろうと思う。
ところで、まだちゃんと読んでいないんだけれど、この本で大山氏は用明天皇と崇峻天皇の大王即位を疑問視している。ところが俺も用明・崇峻の大王即位を疑問視しているのだった。もちろん、こっちでも大山氏は陰謀論で解明しようとしており、俺とは全く相容れない。
⇒崇峻天応は実在するのか?
⇒用明天皇は実在するのか?
(なお俺は2008年5月に書いたので、2009年11月に発行されたこの本を見て書いたわけではないし、大山氏がそのような主張をしていることを知らなかった。念のため)
俺は大山説全否定の立場だったけれど、こうしてみると大山氏の目の付け所は間違ってはいないようにも思えてくる。そもそもタカミムスヒが本来の司令神という、こっちもまた陰謀論がたっぷり含まれている説が「研究者の共通認識」として反論が出てこないというのもおかしな話なのだ。
でも残念なことに歴史学界全体の風潮であるところの何でもかんでも陰謀論で説明するという悪弊に(人一倍)染まりきっているが故にこうなってしまうのだろう。なんて上から目線で評価してみたけれど、当然ながら大山氏は学者で著名人、俺は名も無き一ブロガーに過ぎないのであった。