アマテラスとタカミムスヒ(7) アマテラスの原型

アマテラスは太陽ではなく「太陽のパートナー」だ。天岩戸伝説はアマテラス(ヒルメ)が隠れたので太陽も消えたという話であり、神話には登場しないが太陽はヒルコである。


イザナキ・イザナミ二神が最初に生んだ子は目的に適わなかった「失敗作」だった。その子供が「日神」とされ、次に「日神」「月神」の双子に変化し、さらに「日神」「月神」「スサノオ」の三つ子となった。


そこにさらに「ヒルコ」「ヒルメ」の要素が加わったが、「日神=ヒルコ」では「ヒルメ」を挿入することが困難だった。一方、天岩戸神話では隠れたのが太陽から「太陽のパートナー」に変化したことにより混乱が生じ「太陽のパートナー」であるはずの「ヒルメ」が一部で「日神」とみなされるようになってきた。「日神=ヒルメ」となると今度はヒルコが浮いてしまい、結果として三つ子(三貴子)にヒルコが加えられる形となった。


これが今までのまとめ。


さて、上に『「日神=ヒルコ」では「ヒルメ」を挿入することが困難だった』と書いたが、実はその試みはなされていると俺は考える。


どういうことかといえば、
ヒルメ」はアマテラスとは別の神として神話上に登場している
ということだ。


その神は誰かといえば「太陽=ヒルメ(アマテラス)」ではなく「太陽=ヒルコ」とした場合に、そのパートナーは誰かということを考えれば簡単に導き出せる。


日本書紀』「第五段本文」には、

次生蛭児。雖已三歳脚猶不立。故載之於天磐〓[木+豫]樟船、而順風放棄。

日本書紀(朝日新聞社本)
と書いてある。「アマノイワクスフネ」は「第五段第二」には「トリノイワクスフネ」とあり『古事記』には「葦船」にある。


この「船」が「太陽の船」であって、すなわち「太陽のパートナー」でありアマテラスの原型である


ちなみに「第五段第二」の「トリノイワクスフネ」はイザナキ・イザナミ二神がヒルコの次に生んだことになっており、すなわち兄と妹(弟)の関係になっている。


太陽神が船に乗っているという神話はエジプトが有名だが、日本にもそういう神話があったのだろう。というかその点については学者も指摘している。ただ、それがアマテラスの原型だという説は少なくとも俺は知らない。