そもそもあの諷刺画はどういう意味なのかということを考えてみる必要がある。
レポーターの吹きだしは
「すばらしい。福島のおかげで相撲がオリンピック競技になった」
と書いてあるそうだ。ということは2020年東京オリンピックに相撲はないので、それより後の未来を描いたものだということになる。力士の手や足が三本だったりするけれど、被爆してもそのような突然変異は起きないだろうから、彼らは遺伝子異常によって生まれてきた子供が成長した姿ということになる。
また、2020年以降オリンピックの開催地は当分日本にならないだろうから、おそらくは外国での風景だ。だから後ろにあるのは原発だろうが日本の原発ではない。レポーターや審判とおぼしき人が防護服を着ているということは、放射能汚染が世界に拡がっているということになる。そしてオリンピックであるからして遺伝子異常で生まれた力士が世界中にいるということになる。
福島原発事故は現状では(漫画だということを念頭に入れても)そこまで悲惨なものではない。というように考えれば、(作者が放射能についての正しい知識を持っているならば)この諷刺画が描いているのは福島において微量の放射能を浴びた人達や彼らの子孫が将来こうなるという話ではなかろう。
おそらくこの諷刺画が言いたいのは、「日本政府の危機意識が薄いのではないか」ということであって、対応を誤ればこのような未来になる可能性があるということであろうと思う。
(追記)
あと「福島のおかげ」というのが難解なのだが、競技を屋外でやっているようにみえることから考えると、放射能のせいで芝が生えなくなって(または汚染されて)芝でやるサッッカーやテニスがすたれて世界的に相撲が流行しているというような意味かもしれない。ひねりすぎかもしれないが。
とにかくこれは福島の人達を風刺・誹謗・中傷・差別しているのではないことはほぼ確実かだろう。福島だけで起きることならオリンピックに採用されるというのは全く意味不明だからだ。