2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その7)

我ながらくどいとは思うけどさ、「立国は私なり」の解釈があまりにもアレなんで、書かざるを得ない。 ここまで変な解釈がまかり通っているというのは、福沢諭吉自身に責任があるのかもしれない。しかし、文脈を考えれば正しく理解できるものであり、俺は理解…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その6)

最初に俺は 立國は私なり、公に非ざるなり。 について、「これはそのまま受け取れるだろう」と書いた。 ところが、「立国は私なり」で検索してみると、どうやらこの考えは甘かったようだ。不思議な理解がいっぱいある。どうしてそんな理解をしてしまうのだろ…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その5)

正直飽きてきた。内田樹先生の記事へのブックマークは増える一方である。批判的なコメントはほとんど無いし、批判的な記事も無い。空しい。 というわけで、ちょっと趣向を変えてみる。 「痩我慢の説」で検索して見つけた記事に、 ⇒小林秀雄の読んだ本(二) …

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その4)

福沢諭吉曰く 左れば、自國の衰頽に際し、敵に對して固より勝算なき場合にても、千辛萬苦、力のあらん限りを尽し、いよいよ勝敗の極に至りて、始めて和を講ずるか、若しくは死を決するは、立國の公道にして、國民が國に報ずるの義務と稱す可きものなり。即ち…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その5)

立國は私なり、公に非ざるなり。 福沢諭吉は『痩我慢の説』冒頭でこう述べる。ここで多くの人が誤解する。福沢は「立国は私的なことで公的なことではない」ということを主張しようとしているのだと。 しかし、そうではない。俺の見るところ福沢は徹底したリ…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その2)

福沢諭吉曰く 扨、この立國立政府の公道を行はんとするに當り、平時に在ては差したる艱難もなしと雖も、時勢の變遷に從て國の盛衰なきを得ず。 内田樹先生曰く 別に国運が隆盛で、平和と繁栄を豊かに享受しているようなときには、そんなことを考える必要はな…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その1)

福沢諭吉『痩我慢の説』のテキストはここ。 ⇒痩我慢の説(言葉 言葉 言葉) まず言っておくけれど、俺は福沢諭吉が『痩我慢の説』で主張していることを全面的に同意しているのかといえば、そういうわけではない(現状ではそうだけれど、もっと読み込んで考え…

内田樹先生の利用法

「内田樹が面白い情報を提供したときは疑え。十中八九間違っている」というのが俺のポリシー。 ということは前に書いた。 ⇒患者様 - 国家鮟鱇 さて内田樹先生の最新エントリー。 ⇒公共性と痩我慢について (内田樹の研究室) 福沢諭吉の『痩我慢の説』が紹介さ…

福沢諭吉は『痩我慢の説』で何と言っているのか(その3)

福沢諭吉曰く 扨、この立國立政府の公道を行はんとするに當り、平時に在ては差したる艱難もなしと雖も、時勢の變遷に從て國の盛衰なきを得ず。其衰勢に及んでは、迚も自家の地歩を維持するに足らず、廢滅の數、既に明なりと雖も、尚ほ萬一の僥倖を期して窟す…

サホヒコ・サホヒメは兄妹始祖神話?

⇒長江と「兄妹始祖神話」と「歌垣」(メモ) - Living, Loving, Thinking より孫引き。 工藤隆「長江から延びる「兄妹始祖神話」」『毎日新聞』2010年10月6日少し抜書き; 兄妹始祖神話の典型的な「話型」(モチーフ、大きな話の型)は、洪水などによって人…

なぜ新聞は売れなくなったのか(その2)

俺はかれこれ9年間は新聞を購読していない。理由はもちろんネットで見れるからということだけれど、当時はダイヤル回線だったからそんなに便利だったわけではない。 当時の俺は新聞を購読することは一人前の人間として当然のことだと思っていた。 そんな俺が…

なぜ新聞は売れなくなったのか(その1)

ということを考える前に「そもそも新聞は売れていないのか」というところからはじめる必要があるだろう。 それについては既に良記事があるので非常に助かる。 ⇒1年間で114万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2009年分データ暫定更新版):Garbagene…

内田樹先生と占い師の共通点

⇒はてなブックマーク - 内田 樹 「腐ったマスメディアの方程式」 君たちは自滅していくだろう | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社] 大人気ですね。批判コメントもあるけれど、肯定的なコメントが圧倒的に多い。 俺がこれ見て思うのは「占い師はなぜ当たる…

内田樹先生は今日も平常運転

⇒内田 樹 「腐ったマスメディアの方程式」 君たちは自滅していくだろう | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社] テレビは見ない。新聞も本も読まない。マスメディアは世の中の急激な変化に戸惑うばかり。なぜ見なくなったのか。なぜ読まなくなったのか。内田…

OSATO氏のブログ記事の感想

「杜の里から」というブログを運営されているOSATO氏からコメントを頂きました。 ⇒ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(6) - 国家鮟鱇 で、ご紹介の記事の感想を。 ⇒ホメオパシーを考える - 杜の里から まず、一読して思うのは…

共存不可能な価値観にどう対処するのかという現代の大問題

⇒朝日新聞社説 たばこ値上げ―喫煙者のためにもなる : asahi.com(朝日新聞社):社説 - finalventの日記 朝日新聞社説 たばこ値上げ―喫煙者のためにもなる : asahi.com(朝日新聞社):社説 私はこの発想、「喫煙者のためにもなる」はファシズムへの小さな一…

短文メディアと誤解

⇒ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(1) - 国家鮟鱇 にも書いたことだけれど、Twitterとか「はてなブックマーク」のコメント欄とかの、短文メディアって、日常の出来事を書くとか、メモ代りに使うとかならいいけれど、論評とか…

ホメオパシーバッシング

⇒ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(3) - 国家鮟鱇のブックマークになにやら批判めいたコメントがあるんですけどね。まあ、俺は菊池誠先生のブログの熱心な読者じゃないどころか、たまにしか読まないから、以前からそう言って…

フーコーとか知らないけれど(その2)

昨日書いたことについてなんだけれど、ima-inatさんのコメントにどう返事したらよいのか、ちょっととまどっている。そもそも、俺はima-inatさんの記事の浅田彰氏の発言に「どうなんだろう?」と思ったから書いたのであって、ima-inatさんと論争しようと思っ…

ルソーの寓話批判

上の記事でルソーが『エミール』でラ・フォンテーヌの寓話を批判していると書いたけれど、「蟻とキリギリス」の寓話も批判しているそうだ。 ルソーも、蟻の冷酷さに自然に反応する子供たちには有害な寓話である、と言っているそうです。 ⇒宇曾保物語 で、ふ…

奴隷の鎖自慢について

⇒「奴隷の鎖自慢」原文は多分日本の給与奴隷と関係ないんじゃないかな - 愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記 愛・蔵太氏調べによると、リロイ・ジョーンズの言葉であるらしいとのこと(決定ではないけれど)。この件については俺も書いたんだけれど、誰の…

いつか見た話

NHK 追跡!AtoZ “疑惑の遺骨”を追え 〜戦没者 遺骨収集の闇〜 (番組ホームページ) フィリピン各地で住民の墓が荒らされ、遺骨が盗まれる事件が続発。その盗掘された骨が、「日本人の遺骨」として、厚生労働省が収骨事業を委託する民間団体に渡されていると…

フーコーとか知らないけれど

⇒それってリバタリアンと何か違うのか - finalventの日記 経由 ⇒浅田彰によるフーコーの整理 - Hello, How Low? さらに元記事 ⇒週刊ダイヤモンド/続・憂国呆談 しかし、すぐキレると言われる最近の子供を見てもわかるように、幸か不幸かディシプリンはもはや…

江戸時代のストーカー?

別れた後も元恋人などに付きまとわれる「ストーカー被害」は、昔からあった。群馬県太田市徳川町の縁切寺満徳寺資料館で展示している「執心切れ一札」と呼ばれる文書は、男女の別れの難しさを物語っている。 展示史料は、「執心がましき儀御座なく候」という…

お茶目な赤木さん

赤木智弘氏の最新エントリー それこそ「ネットで真実」の方たちは、新聞やテレビで報じられるものを「マスゴミ」と揶揄し、自分たちが【拡散】する情報こそ、マスゴミが必死になって隠す本当の真実だと思いたがっている。 もちろん、現状のマスコミが《客観…

ニコ生シノドス『ホメオパシー騒動とニセ科学論争の行方』見たよ(6)

ホメオパシーの排除 ⇒ホメオパシー、排除の先に解決なし - WEBRONZA+ WEBRONZAスペシャル - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand) 「正統的な科学や医学が、いかがわしい医学モドキを排除する」。これは一見、望ましい事態の進展にみえるかも知れない。だが…

スモールワールド

この前、民主党代表選でマスコミの世論調査とネットの世論調査が食い違っていることについての陰謀論について書いて、そのとき調べている過程で、植草氏が去年の4月に某ブロガー協会の設立記念講演会で挨拶していることを知った。よく見れば彼のブログにもリ…