付喪神について(その7)

「付喪神」についてのここまでの俺の推理まとめ 「つくもがみ」とは本来は妖怪でも何でもなく単なる「不用になった古道具」のこと(使用年数も関係ない)。 「つくもがみ」の名前の由来は『伊勢物語』の「つくも髪」から 「つくも髪」=白髪=高齢女性=男か…

「淀君」が蔑称だという珍説(追記その3)

『絵本太閤記』の「淀殿」「淀君」 勝家籠北庄城 此姉姫は後に秀吉公の妾秀頼の御母堂淀君と申せしは此御方也 佐々成政生害 此ころ天下の美人且秀才と時めきて秀吉公の御覚も他に勝りたる淀殿に見せばや此人いかに賢くとても此花の出所は知られまじと黒百合…

「淀君」が蔑称だという珍説(追記その2)

まあ「淀君」という名称がイレギュラーだというのはその通りだろう。彼女は豊臣家の人間といっても、彼女は「浅井氏」であり、「藤原姓」で「豊臣姓」ではないと考えられるから、摂家の女性に与えられる「君号」というのも正確ではない(ここのところ無知な…

「淀君」が蔑称だという珍説(追記)

「淀君」が彼女を貶めるために遊女のイメージを植え付けたというのは俺にとって非常に厄介な問題なのだ。というのも俺は俺で彼女と遊女の関係が気になってるから。ただし、それは貶めるためといったこととは別次元の話として。といってもこれは空想の話でし…

「淀君」が蔑称だという珍説

もう8年も前に書いたことだが、改めて書いてみる。「淀君」が蔑称だという説は小和田哲男氏と田中貴子氏がほぼ同時期に主張した。小和田氏の方が早いが、田中氏はそれを知らなかった由。 そもそも、通称の淀君という名前からして悪意にみちた意図的なネーミ…

付喪神について(その6)

先に『付喪神記』は『付捜神記』だという仮説を立てたが、よくよく考えれば同様にしてもう一つの可能性が浮かんでくることにも気づいた。『付喪・神記』である。「付喪」は「ふそう」と読め、すなわち「扶桑=日本」に通じる。 これまた突飛な考えだというこ…

付喪神について(その5)

「付喪神」が「つくも髪」に由来することはほぼ疑いないと思っている。次の問題はなぜ「つくもがみ」を「付喪神」と漢字表記するのかということ。これについて解説してるものは見つからなかった。俺は今まで「狐憑き」などの「憑き」と同じで憑依するという…

付喪神について(その4)

『付喪神絵巻』以前に付喪神なる妖怪は存在したのか?これは重要な問題 だが確実なことはわからない。個人的には『付喪神絵巻』による創作の可能性が高いと思う。今後その前提で考察を進める。 なぜ『付喪神絵巻』は器物の妖怪を「付喪神」と呼んだのか?当…

付喪神について(その3)

先に「『付喪神絵巻』以前に「付喪神」という名前の妖怪に関する伝承や信仰は無かった可能性が非常に高いのではないか」と書いたけれども新情報。 正応4年(1291)の奥書がある河野美術館蔵『伊勢物語註 冷泉流』に もゝとせに一せたらぬつくもかミと云ハ、…

付喪神について(その2)

そもそも論として『付喪神絵巻』はどこまで信用できるのか?もちろん付喪神など実在しないのは当然だが、そういう意味ではなくて『付喪神絵巻』に書かれていることは、どの部分が著者の創作で、どの部分がそれ以前から存在していた話なのかということ。 陰陽…

付喪神について(その1)

名前だけは聞いたことがあるけれども、付喪神とは何かということをちゃんと考えて見たことはなかった。「付喪神(つくもがみ)」の「つくも」とは「九十九」のことだということさえ、言われてみれば確かにと思うけど、今まで気付いていなかった。なぜ「九十…

なぜ「違和感を感じる」のか?

「〇〇感」界の圧倒的王者「違和感」。 「違和感を感じる」は「違和感」の一割未満。「〇〇感を感じる/ 〇〇感」は熟語によってかなりのバラつきがある。「存在感を感じる」は数で「違和感を感じる」に迫り割合は圧倒的。何でだろう? Google 検索 「違和感…

片瀬久美子氏炎上

⇒片瀬久美子さんがスリーパーセルをスーパーセルと空目→しばき隊界隈が片瀬さんを批判→片瀬さん、しばき隊界隈と訣別宣言 - Togetter ⇒はてなブックマーク さて、これをどう考えるかだが、そもそもの発端は先の三浦瑠璃氏のスリーパーセル発言騒動にあるわけ…

「スリーパーセル」論争の不思議

三浦瑠麗発言の争点として大いに議論されているものは 〇 スリーパーセルは実在するのか? 〇 スリーパーセルがいるとして大阪が危ないのか の二点であろう。スリーパーセルといっても様々な目的があるだろうが、この場合の「スリーパーセル」とは、北朝鮮が…

「リベラルの反対語はパターナリズム」という主張が心底理解できない

⇒立憲民主・枝野幸男代表「安倍晋三首相は保守主義ではなくパターナリズム。自分は保守でありリベラル」 - 産経ニュース 立憲民主党の枝野幸男代表は15日、共同通信社で講演し、安倍晋三首相の政治思想について「パターナリズムだとは思うが、保守だとは思…

近衛前久書状(石谷家文書)の解釈

なんか妙なことになってる。 とりあえず簡潔に 俺の解釈では 一昨年の冬、 安土城においていろいろと(わたくし前久のことを)悪し様に 信長に告げる者がいて 既に(わたくし前久が良くない者であるということに)決着した ように なっているところで、わた…

『兼見卿記』の謎

ちょっと気になったので簡潔に。 『兼見卿記』天正10年には正本と別本がある。一般的には別本には都合の悪いことが書かれていたので書き直されたと言われてる。都合が悪かったはずなのに、なぜか廃棄されずに残っていて、両者を比較すればどの部分が都合が悪…

佐々木 俊尚の(無自覚であろう)ブーメラン

⇒「ネトウヨ」「パヨク」の罵り合い、そろそろやめてみませんか? | 文春オンラインこの記事に書いてあることは一見まともに見える(そうでない部分もあるが)。佐々木氏にしてみれば良いこと書いたと満足していることだろう。 だが、この記事にはブーメラン…

自民党は保守ではないかもしれないが小林よりのりは全く保守ではない

⇒「自民党は保守じゃないんですよ」 漫画家・小林よしのりが応援演説で語ったこと既に書いたようにリベラルの定義は様々だが、日本で一般に呼ばれるところのリベラルとは「大きな政府」を志向する人達。政府の介入に肯定的な人達。基本的に日本の左派は所得…

リベラルとは何か(その2)

「リベラル」の辞書的な説明は 1.自由なこと。 2.自由主義的。 だが「自由」には相反する二つの考え方がある。それについてハイエクが説明している。 このような社会主義の主張がもっともらしく聞こえようとするために、「自由」という言葉の意味を社会主義…

リベラルとは何か

リベラルとは単純にいえば「自由主義」のこと。ただし、ほとんどの思想は「自由」を支持しているので、これだけでは何の説明にもならない。個人に対して自由を束縛するあらゆるものを否定するのが自由主義。すなわち国家権力だけでなく、家族・地域社会ある…

過激なリベラルが全体主義になるのは当然の帰結である

⇒2017-09-24 - 今日の雑談何と申しましょうか、このブログでは個人主義と全体主義は正反対のものでは決してなく、むしろ親和性の高いものだということを何度か書いているわけですが、そういう話はあまり一般には理解されてないのであります。 ⇒「左翼」の対…

ヤマトタケルとは何者か?(その2)

⇒「ヤマトタケル」(澤井 理乃)より 古事記中巻が持つテーマは、天皇の世界のもととなる神話的な部分の上巻をうけて、天皇が中心となる世界の成り立ちを語ることにあった。神武天皇から応神天皇までの間で、天皇の秩序の世界が確立されていき、下巻では完成…

ヤマトタケルとは何者か?

日本神話にも関心があって、そっちも書きたいんだけどなかなか書けないでいる。ちょっとストレスが溜まってきたので、久しぶりに書いてみる。俺は現在の日本神話の理解は根本的なところで間違っていると思う(なんてことを言うとトンデモになってしまうのか…

続・メッケルが関ヶ原は西軍の勝ちと言ったというのはガセという話について(推理篇)

ここまでにわかったこと・メッケルは参謀旅行で関ケ原に行ってない ・後任のビィルデンブルヒは参謀旅行で関ケ原に行った参謀旅行とは参謀が現地に行って東軍と西軍に分かれ、地形・兵站等を考慮しながら作戦を立てて争ういわば大規模なウォー・シミュレーシ…

猿帰候て

⇒豊臣秀吉と「猿」(その2) - 国家鮟鱇 猿帰候て、夜前之様子具言上候、先以可然候、又一若を差遣候、其面 無油断雖相聞候、猶以可入勢(精)候、各辛労令察候、今日之趣徳若ニ可申 越候也、 (『織田信長文書の研究〈下巻〉』奥野高広 昭和45) 猿帰候て、…

続・メッケルが関ヶ原は西軍の勝ちと言ったというのはガセという話について(追記)

『児玉源太郎』(宿利重一)によれば、参謀旅行の始めは明治18(1885)だということで、「官報. 1885年11月13日」に 〇陸軍大学校学生参謀旅行ノタメ歩兵大佐岡本兵四郎及同校御雇教師独逸国人メツケル等ハ去ル六日茨城県下総国北相馬郡取手駅ニ著セリ とあ…

続・メッケルが関ヶ原は西軍の勝ちと言ったというのはガセという話について

アクセス解析の機能が無いので正確なところはわからないけれども、このブログの中で一番読まれていると思われる記事。 ⇒メッケルが関ヶ原は西軍の勝ちと言ったというのはガセという話についてネット検索して簡単に見つかった情報をまとめて、ちょこっと感想…

「アイヌ伝説が実は創作だった」件について(その5)

『山の伝説と情話』は国立国会図書館デジタルコレクションでは この資料は、著作権の保護期間中であるか、著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません。閲覧を希望される場合は、国立国会図書館または図書館送信参加館へご来館く…

「アイヌ伝説が実は創作だった」件について(その4)

青木純二とは何者か? ⇒「大正期におけるアイヌ民話集」阿部敏夫(PDF) 青木純二の関して『新聞人名辞典』で調べてみると、大正十三年と大正十四年と昭和二年の三回ほど青木純二というのが出ています。そして青木純二の本名は中尾兵志っていうんです。当時、…